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株価対策は、まず現状の把握から始めなければなりません。株価評価の算定(相続税評価額及び法人税法・所得税法上の時価)を通じて、会社区分、類似業種比準価額、純資産価額、税法上の時価評価額などの評価方法や評価要素等の内容を確認し、株価が高い原因がどこにあるのかなどを把握します。同時に、どの要素が変動すれば株価を引き下げることが可能か、幾通りかの仮説を立ててみることも重要です。
また、関係するグループ会社の株主構成や株価評価の算定を通じた把握事項、さらに事業内容及び対象会社との取引の内容等を把握することも必須です。将来に向けて予定していた組織再編等などが思わぬ株価引き下げにつながることも往々にしてあることです。
そしてこれらの現状把握した内容の中に、必ず何らかの株価を引き下げるヒントが隠されているはずです。今すぐに出来ないことでも将来的には可能なこともありますので、まずは自社(グループ会社を含む)の株価評価の内容を十分に把握しておくことが基本となるのです。
オーナー企業に対する事業承継対策は、大別して2つのケースに分かれます。
事業承継の類型が「親族内承継でオーナーの株式が分散していないケース」で、一般的には親が大半の株式を所有しており、それを子供に承継させる様なケースです(一般的に一番多いケースがこのケースです)。このケースの場合は、株価の引き下げ対策を行い、最終的に後継者に自社株を贈与(相続時精算課税贈与を含む)又は相続させるスキームを活用します。よって、検討していく株価は相続税評価額をベースにすることになります。
このスキームを行う上でのポイントは、多くの株価の引き下げ対策の選択肢の中から、自社にあった最善(オーダーメイド)の方法を見つけ出すということです。上記(株価対策の基本は現状把握から)で把握できた情報と会社が今後行っていく事業活動を組み合わせ、節税を目的としただけの極端な対策ではなく、あくまで事業活動の延長線上で行う事業承継対策を考え出すことがポイントとなります。
事業承継の類型が「親族内承継でオーナーの株式が分散しているケース」で、一般的には何度か相続を繰り返した結果、兄弟等で分散して株式を所有しており、現経営者グループが完全支配をしていないケースです(支配権を持っていないケースを含む)。このケースの場合は、オーナー間で分散している株式を現経営者グループに集中(株式の買取り)させるスキームが中心となります。オーナー間の利害が相反していることが多いため、検討していく株価は法人税・所得税法上の時価又はM&A価格などの時価をベースにすることになります。
このスキームを行う上でのポイントは、価格交渉と買取りの方法選択です。まず、価格交渉を行っていく上でのベースとなる適正価格をいかに合理的に算出できるか、またその価格を採用した場合の税務リスクを踏まえることも必要となります(利害は相反しているがあくまでも同族間取引であるため)。
そして、受け皿となる買取りの方法としては、金融機関からの資金調達が可能な法人を活用し買い取りを行います(返済原資は買取り株式からの無税の配当を予定)。この場合、合わせて現経営者グループの株式も買取り、持ち株会社化することで、今後の事業活動の延長線上での活用に繋げていくことがポイントとなります。
私たちは、事業承継対策は事業活動の延長線で行うものであり、事業経営を継続させ、新たな事業展開のきっかけとなるものでなければならないと考えています。その上で組織再編(税制)の活用するケースが増えています。
親族内承継の場合でも、上記(オーナー企業に対する事業承継対策のポイント)の株価引き下げ対策や株式の買取り方法としても、組織再編(税制)を活用するケースが多くなっています。
また、M&Aを中心とした親族外承継の場合には、自社株を売却した後の手取り額(税引き後)を最大限することや売却後の新たな取り組み(新規事業、資産運用など)を見据えた上で、その売却スキームに組織再編(税制)を活用することは必須となっています。